ハミンと僕の3年間の記憶

韓国人の彼女ハミンと、僕との間の3年間に渡る恋の物語です。 内容は全て実話です。 ハミンとの出会いから、僕の交通事故、ハミンがイギリスへと旅立ち離れ離れになった1年間、そして韓国で別れをするまでの僕の恋を描いています。

(3/17) 深まる気持ち

23日の祝日もデートへ。
付き合ってからはじめてのデートは六本木へ。六本木駅で待ち合わせをして、ミッドタウンのイルミネーションを観に行って、ご飯食べる。ベタなデートではあるけれどこれも面白い。
ハミンと一緒にいる時間が楽しいからだ。
実は、彼女が韓国人であることで文化的な違いに少し臆病になっていた自分であったが、そんなの関係なくなってきた。
他の女の子と変わらない、ごく普通の子だ。違うところがあるとすれば、それは国籍ではなくて、とにかくよく笑うところだ。目がなくなるくらいまで笑う子だ。

次に会うのもまた2日後のクリスマス。なかなか忙しい日々だ。
コウヘイの彼女が僕にこっそり教えてくれたのだが、付き合ってすぐのクリスマスにハミンは相当気合を入れているようだ。だから僕もしっかり準備した方がいいよ、との言葉をもらう。
ロマンチックなことが苦手な僕の性格を知っているようで、事前に情報を教えてくれたのだ。
その話を聞いてからは、そのまま新宿伊勢丹へ。
ハミンへのプレゼントには何が良いのだろう。
いろいろ考えた挙句、普段から使ってもらえるものが1番だ。ということでネックレスを探しに。
丁寧に相談にのってくれる店員のお姉さんは、親切にも1つ1つネックレスを着けてくれ、アドバイスをくれた。センスのない僕にはありがたい。
そうして選んだネックレスを買って、あとはクリスマスの日に渡すだけだ。

まだまだクリスマスの準備は終わらない。
21日に付き合って、25日のクリスマス。急遽決まったからこそ僕は大慌てだ。幸運にも、場所は丸ビル、東京駅が見えるレストランの予約をすることができた。一安心。
クリスマスは男にとってなかなか大変な日だ。店選びにミスは許されないのだ。

東京駅でハミンと待ち合わせをして、歩いてすぐの丸ビルへ。
店に入ると、付き合って4日目の僕らとは違って、付き合い歴が僕らよりベテランのカップルばかりだ。
まだまだフレッシュな2人で食事を楽しんで、プレゼント交換。ハミンも僕のプレゼントに喜んでくれたようだ。
ハミンは僕のために一生懸命セーターを選んでくれたようで、その気持ちがありがたかった。

食事のあとには、お店の人に写真撮影をお願いすると、完璧に撮ってくれた。
が、なんだか2人は硬い表情。そうだ付き合ったばかりでまだまだのようだ。
その日も高田馬場まで見送りにいって、お別れ。
お互い最高のクリスマスになったようだ。
正直なところ、僕はいつもお別れをしてから電車のなかでその日のハミンとの時間を思い出しながら幸せに浸る。
ただ、他の人から見たらきっと気持ちが悪いことだろうな。

クリスマスの次の日はお互い仕事。
ハミンは空間デザイナーとして仕事をしていて、なかなか忙しい。特に年末に向けて12月はずっと忙しいようだ。
僕の方はというと、ずっと深夜まで仕事をし続けてきた日々も終わり、生活リズムもけっこう落ち着いている。
20時になれば仕事も終わっている。
そんななか、夕方にはハミンから今日会えるかどうかのメッセージが。
ということで、この日もハミンと会うことに。
場所はハミンの会社がある恵比寿。
22時頃にハミンが到着。2人でガーデンプレイスのイルミネーションをみながら、一緒にいる時間を楽しむ。
僕らはそこではじめてのキスをした。ハミンは恥ずかしさもあって顔が真っ赤に。
記念すべき夜になった。
またしても高田馬場まで送る僕。ぎこちなさもなくなり、どんどん距離が近づいてくる。

韓国人と付き合うことに少し身構えている僕であったが、ハミンはなんだか自然体だった。
僕が想像していた韓国人の女の子の付き合い方というのをしないらしい。いたって普通で、毎日30通メッセージを送らないといけないということはないようだ。(笑)
僕は最初、毎日愛してるとか言わないといけないとか、メールはすぐに返さないといけないとか、そういうよく聞く韓国の女の子との付き合い方に心配していた部分があった。
結局ハミンは普通の女の子と変わらず、こちらも自然体でいれた。


まだまだ年末も会うことに。
なんだか2日に1回はデートしているようだが、これがすごく楽しいのだ。恋愛の楽しさにどんどんハマってきた。
お互い付き合った人は過去にももちろんいるが、ここまで毎日ドキドキする付き合いをするのは、僕ははじめてだ。実はハミンもそうらしい。
その日は2人で東京タワーへデート。
東京の夜景にうっとりする2人。うーん、よいカップルになってきた。
年末が近づいていることもあり、東京タワーの展望台のなかではラジオ生放送が。聞いてみると、曲のリクエストを受け付けているようだ。
ハミンと2人でリクエスト曲を出してみることに。
紙にはリストアップされた曲が全部で100曲。
お互い隠しながら、選んでみる。僕はハミンがどんな曲を聞くのかも知らないし、日本の曲をどこまで知っているのかすらも知らない。
100曲のなかでお互いの曲が当たることなんてほぼないだろう。
お互い、紙をスタッフの方に渡して外を眺めていると、なんといきなり僕のメッセージが読み上げられている。まさか自分のものが読み上げられるとは思わずにいた僕は、嬉しいというよりもすごく恥ずかしい気持ちだった。
と、次に読み上げられたメッセージではハミンが照れている。次に読み上げられたのはハミンが書いた内容だった。
しかも、「翔太〜、大好きです〜!」なんていうメッセージまで。
嬉しい。が、これは恥ずかしい。
そして流れてくる曲はGREEEENの「愛唄」。なんという偶然であり奇跡。
2人が選んだ曲は同じだった。
お互い照れながら、聞くことに。
なんだかすごいいいカップルに近づいてきた。僕も毎日がドキドキしている。


そうしていると、あっという間に大晦日。
僕は千葉の実家に帰り、ハミンは会社の先輩と東京でカウントダウンパーティーに行くということらしい。僕は0時になったらハミンに送れるよう、メッセージを作っていた。
そして、0時ピッタリにハミンに送った。
ハミンも同じことをしていたようで、0時ピッタリに僕もメッセージを受け取る。
考えていることは一緒だ。

次の日には、ハミンは僕の実家に来てくれることになった。
幕張まで車を走らせて、ハミンを迎えにいくことに。
実際会うのは3日ぶりくらいで、なんだか妙に久しぶりに感じる。それだけ付き合ってからはずっと一緒にいたということなのかもしれない。
そのまま海まで車を走らせて海辺を歩く。元日の夕陽がきれいだ。
ハミンを後ろからぎゅっと抱きしめ、赤い夕焼けを一緒に眺める。元旦から幸せな時間が過ぎていった。

このまま、僕の実家へ。
付き合ってまだ10日くらいしか経っていないが、実家につれてきたのは特に大きな意味があるわけではなく、ハミンにも正月気分を味わってもらいたいという気持ちが主だった。
親とも挨拶をし、すぐに父親も母親も気に入ってくれた。なんだか楽しそうに話をしている。ハミンはすぐに仲良くやれるようだ。
ハミンはデザイナーとして仕事をしていることもあって、アートには興味も強い。僕の母親は趣味で押花をやっていて、ものによっては1ヶ月位時間をかけて、一枚の画を押花で作る。
母親も、普段僕ら男に話をするよりもなんだか楽しそうだ。「ハミンちゃんこれも見て」とかいって、次から次へと母親もこれまで作った押花の画をどんどんもってくる。ハミンも「すごいですね」なんてニコニコ言うもんだから、母親も調子がよくなって止まらない。
母親に付き合わされているハミンを少し気の毒に思いながらも…、お互い楽しんでいるようでなによりだ。
一緒にご飯を食べ、我が家の猫シマジロウとも遊ぶ。シマジロウもすぐになついたようだ。
僕の家の近くは良く言えば自然に囲まれている。悪く言えば田舎だ。
田んぼまで車を走らせて、真っ暗闇のなかで2人で星を眺める。東京と違って、ここでは星がきれいに見られる。
僕は実家で正月を過ごしているけれど、ハミンはそう簡単には帰れない。きっと家族と一緒にいたい気持ちもあるんだろうなと思いながら、この日はひとりじゃない。2人で過ごす。

翌日は実家で雑煮を食べ、ハミンと僕ら家族で正月を楽しむ。
そこからは僕とハミンの2人は成田山へ初詣。
人混みの中で身動きとれなくなりながらも、2人の時間を楽しんで帰りの電車ではもうぐったり。正月から2人はなかなか忙しいようだ。

東京に帰ってから、今度はハミンと僕のルームメイトのコウヘイとコウヘイの彼女の4人で改めて新年のお祝い。
ハミンは僕らのために、韓国の正月料理をつくってくれるとのこと。
ハミンは気合を入れて新大久保で食材を大量に買い込んできた。韓国の野菜から、韓国式のお餅のようなものまで。
僕ら男は料理を手伝おうとするも、その実力のなさがバレ、戦力外となった。僕らの下手な包丁使いをみて、判断されたようだった。
力不足を感じるも、お湯をわかしたり、出来る限りのことで手伝う。僕とコウヘイの部屋なので、本来はホームのはずだが、この日ばかりは完全なアウェーだ。
料理も出来上がり、チヂミ、プルコギなど僕らでも知っている料理から、はじめて食べる料理まで。
どれもうまい。美味しそうに食べる僕らの顔をみて、ハミンもご満悦だ。

食事を終えると、ハミンによる韓国語講座がはじまった。コウヘイも韓国語を覚える気持ちがないのか、あまり興味を示さない様子。
僕も同じく、あまり覚えようとはしていない。
韓国語のできない僕らは言われるがまま。そう考えると、母国語以外で会話をさせてもらっている僕は甘えているのかもしれない。。
4人でゆっくり過ごしたあとは、どこか遊びにいこうとのことになり、田町のボウリング場へ。
そこで僕とハミンは付き合ってはじめて喧嘩をした。
その後付き合う中でももう1回喧嘩をすることになるのだが、2年間で2回のうちの1回目。
僕はコウヘイらがいるときには手を繋ぐのは少し恥ずかしかったので、しないようにしていたが、ハミンはみるみる不機嫌に。
「どうしたの」なんてのんきに聞いてみると、「なんで手を繋いでくれないの!」とのことで怒っているではないか。僕は彼女の気持ちがわからず、「だって恥ずかしいじゃん」なんて言うと、彼女はもっと怒ってしまっている。
なんだか怒らせてしまったようだ。
こういう女の子の気持ちを理解するのは苦手だ。
今となっては数少ない喧嘩の1つとして思い出となったが、ハミンの気持ちに気が付かなかった僕は大いに反省をした。
その後は、他の友達と会ってもハミンと手を繋ぐようなった。なんだか僕のキャラにも合わない気持ちはあるが、まぁそんなものだ。教訓をいかして、ハミンに合わせておくのが正解だ。