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ハミンと僕の3年間の記憶

韓国人の彼女ハミンと、僕との間の3年間に渡る恋の物語です。 内容は全て実話です。 ハミンとの出会いから、僕の交通事故、ハミンがイギリスへと旅立ち離れ離れになった1年間、そして韓国で別れをするまでの僕の恋を描いています。

(8/17) 突然の留学宣言

そのあとは2人とも楽しい日々を過ごしていた。が、それは長く続かなかった。
ある日、一緒に食事をしているときに、ハミンが急に真剣な顔になって切り出した。
ハミンは、アメリカへの留学を考えているということだった。それも半年ほど先に。
僕は一瞬頭の中が真っ白になった。
ハミンのなかでの意思は固く、行くことは家族とも既に相談してあり決めた、と。
ロサンゼルスに住んでいる親戚の家に住みながら、現地のアート系の学校に通いたいらしい。
僕は話を一通り聞いた後、その場でハミンに反対した。
ハミンには離れてほしくなかったし、これからも一緒にいたかった。そしてそれ以上に、なぜアメリカに行くのか、アメリカに行った後にどうなりたいのかということが話を聞いても見えなかった。
彼女なりの理由があるのだとは思うが、話を聞く僕には、それがハミンにとって留学がベストの選択肢であるようには思うことができなかった。
ハミンは僕が反対をしたことに対して、泣きながら言った。
「なんで私のことを理解してくれないの・・・。」
これが付き合ってから2回目にハミンが怒ったときだ。ハミンが怒るというのは、この先は1度もなかった。

僕も苦しい。彼女には自由に自分が好きなことをやってほしい。
だけれど、今回の件は話を聞いても、なぜアメリカに行く必要があるのかまだぼんやりしているように感じられた。そして何より、1年間の予定でアメリカに行くと言っていたが、1年間であれ僕はハミンにはそばを離れてほしくなかった。僕のわがままも含まれている。
日曜日の品川のカフェ。そこには僕らしかいなかった。
2人で大泣きしながら話をしていた。

その日の夜。僕は一切眠ることができなかった。
ハミンと離れ離れになることを思うと、悲しくてしょうがなかった。自然と涙が溢れてきた。
こんなに僕は女々しいのか。
男として、相手の夢を叶えるために力になりたいという思いがあったが、ただ現実的に離れてほしくない気持ちの方が強かった。

次の日、僕は出張だった。次にハミンに会えるのは早くても次の週末の土曜日だ。
睡眠時間の少ないなか、新幹線、そして電車に乗り寂しい1人の時間を過ごした。なんだか記憶がないくらい、頭が空っぽになっていた。
東京からも離れ、1人で寂しい時間を過ごし、仕事で頭をいっぱいにした。それしかなかった。でなければ、ハミンが半年後には離れていってしまう寂しさがつのる。
出張から帰り、ハミンに会うと、留学はやめたとのことだった。
僕は嬉しかった。大好きなハミンが残ってくれるからだ。
正直、まだこの時点で結婚ということは考えられる程ではなかったけれど、離れ離れにならないことが、僕らにとってはベストだと思えた。
ハミンもよく考えてみたところ、今のタイミングでアメリカに行くのはベストな判断ではないとのことだった。結局、どこまで僕のことを考えたのかはわからないままだけど。

なにはともあれ、ハミンとはまだまだ一緒にいられることになった。
同時に、ハミンとはこれまで将来の夢とか仕事のことはお互い極力話さないようにしていたが、ハミンが心の内側にもっている情熱と夢を知って僕は驚きだった。
日本を離れると言ったことは僕にとって衝撃であり、しばらくはすっきりしない気持ちを残すことになった。