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ハミンと僕の3年間の記憶

韓国人の彼女ハミンと、僕との間の3年間に渡る恋の物語です。 内容は全て実話です。 ハミンとの出会いから、僕の交通事故、ハミンがイギリスへと旅立ち離れ離れになった1年間、そして韓国で別れをするまでの僕の恋を描いています。

(2/17) 告白

この日から、ほぼ毎日メッセージがはじまった。1週間前の僕は想像しただろうか、こうしたやりとりを。
なんだ、恋愛って楽しいじゃないか。
僕は生き生きと、そして毎日が幸せになってきた。
僕は、1つのことしか考えられない典型的な人間で、ときにはそれしか考えられなくなる。
今回はまさにそうだ。
まだ2回しか会っていないハミンに告白することを決めた。
食事に誘ってみると、水曜日の夜が大丈夫とのことだ。
出会ってから10日目の日という猛スピードだ。

そして僕にとって、重要な水曜日がきた。
しかし朝からなんだか具合が悪い。特にお腹の調子が悪い。
時間が経つ毎にさらに体調は悪化していく。具合が悪いままなんとかお客さん企業との打ち合わせを終え、一度会社に戻ろうとするも、どんどん苦しくなってくる。
電車に乗るのも精一杯になってきた。
今日は大事な決戦の日なんだと自分に言い聞かせる。
頑張れ頑張れと自分に言い聞かせる。せっかくハミンとの食事をする日が決まって、そのときから告白に備えてきたではないか。
それがなんという状況だ。
全然力が出ないのだ。力が出ないだけでなく、変な汗も吹き出してくる。
熱があるかなんてわからない。
というか僕は普段あまり体調を崩すことはないのだ。なのに、この日だけどうしてこんな状態なんだろう。
わかることは、非常に具合が悪いということ。
そしてこれはあまり経験したことのない痛みだ。どんどんお腹が苦しくなってくる。

もうダメだ。
なんとか我慢してきたが、ここでギブアップ。
ハミンに連絡を入れて、今日は延期してもらう。大事な日を延期とは、なんとも不甲斐ない。

その日の夜は腹痛にうなされる僕。ルームメイトのコウヘイも心配してくれるが、気遣いに応えられるだけの元気すらない。
うーうー、とうなされる僕。
寝ることもできずそのまま朝を迎える。
会社にも休みの連絡を入れて、そのまま病院へ。
診断結果は急性胃腸炎
まだ重症ではない分だけ入院は免れたが、薬を飲んで家で静養しなさいとのこと。
家でゴロンゴロン。ツライ。
決戦の日だと思っていたが、その場にすら行けず、あっけなく敗北。
そして今は病人になって家で寝ているだけではないか。
2日経つと体調はだいぶ良くなってきた。まだ本調子ではないが、なんとか生活はできる。
金曜の夜にはハミンに連絡を入れてみる。
幸運にも、日曜日の夜は予定が空いているとのこと。ディナーデートに誘い出すことに成功。
よし、2回目の決戦の日は決まった。

決戦の場所は池袋。普段池袋に行かない僕は得意な場所ではない。
けれど、池袋を選んだのにも理由がある。
クリスマスも近くに迫った日、調べれば立教大学がライトアップをしているとのこと。
韓国人には多いが、ハミンもクリスチャンで、毎週日曜日の朝には教会に行っている。だからこそキリスト教系の場所として、立教大学を選んだのだ。
丸の内や表参道といった場所は人が多くてなかなか告白の場所には向かないこともあり、僕の中ではベストスポットをみつけた気持ちだった。


大切なこの日は、20分前には待ち合わせの場所へ。
ただ待ち合わせ場所がなんともわかりづらい。というか、相手を見つけづらい。池袋でものすごい人数の人がいる上に、さらにどの方面から来るのかがわからない。
相手に見つけさせてしまうなんてダメな男だ。だから僕から気づいて声をかけたい。そんな気持ちでハミンを探す。どこから来るんだろう。うーん、わからない。

「わっ」という言葉でビックリ。ハミンは僕に気づかれないように後ろからやってきて、驚かせてきたのだ。
はじけるような笑顔で登場したハミン。なんとも先制パンチをくらってしまった。
この笑顔に僕は虜にされてしまったのだ。
今日のこの日を意識している僕は、なんだかぎこちない。

サンシャインに行くことは決めていたが、それより先の夕食場所は特に決めていない。
今回は2人で決めたいと思っていたが、想像以上に良いところが見つからない。
サンシャインのなかをグルグルまわる。
やっとお店も決まって中に入るも、なんだか今日の僕は意識しすぎるあまりぎこちないのだ。
「今日は何してたの?」
「今週は忙しかった?」
そんな当たり障りのない、何も面白くないコミュニケーションしかとれない僕。
前回の楽しい会話はどこへいってしまったのだ!
お酒の力を借りようにも、ほんの数日前まで病人だった僕はその日はお酒が飲めない。
うー・・。
そうしていると固さもとれ、話もはずんできた。

ライトアップは夜10時までという事前情報を仕入れた僕は、彼女を外の散歩に誘いだす。ライトアップにハミンも興味があるようで、立教大学に向けて出発だ。
さぁ、ここからが大事。

9時を少し過ぎた頃には、立教大学の前に到着。
あれ、ライトアップがない。
ライトアップしているという情報をみていたのに・・。警備のおじさんに聞いてみるとこの日は特別に早く8時に終わってしまったとのこと。
あら・・・。
ライトアップがないことにハミンは笑っている。
僕も「あれー、おかしいな。なんでだろう。」とか言って引きつった笑いをしながら、そのまま立教大学を一緒に歩いて一周。
僕は一周歩きながら、告白するのに番良いところを探しながらで必死だ。
あの少しだけそれっぽい雰囲気のある、あの角の場所で告白をしよう。

韓国の女の子に告白するなんていう経験は僕自身なく(まぁ普通そうだろう)、ネットでいろいろ調べていた。
ネットのいろいろなところで、韓国の男は好きな女の子に何度も何度も告白すると書いてあるではないか。
というのも、韓国の女の子は一度でYesと言わないらしい。
最初は断るのが普通のようだ。
男は次に何度もトライする。そのなかでやっとYesという言葉がでるのだそうだ。
こうしてネットで調べ、韓国の男は断られても何度も告白をすることを知ってからは、僕もなんだか勇気が出てきたのだ。
僕も今回ダメでも続けて挑戦をしよう。これが最初の1回目だ、えーい。

僕は勇気を振り絞って告白した。
「最初に会った瞬間からハミンちゃんのことが好きになりました。まだ出会って日が少ししか経っていないけど、僕の気持ちはきっと変わることはありません。付き合ってください」
言ってやったぞ。
ハミンはいつもと変わらずニコニコ。ただ、ちょっと照れてるような。
あ、こんな感じで断られるのか。そう思っていると、
「よろしくお願いします」
あれ。いいの!? やったー。
この時から僕らは付き合うことになった。
12月21日、クリスマスを意識したわけではなかったけれど、結果的にクリスマスは1人で過ごすことはなくなった。

ハミンをまたいつものように高田馬場駅まで送るときには、手も繋がず、というか繋げず。
さっきまでのお互い笑いあっていた雰囲気とは違って、お互い付き合ったことでちょっと緊張。
駅でハミンを見送り、この日からハミンとの時間が始まった。


家に帰ると、ルームメイトのコウヘイには早速報告。
「おおっ!」といつも驚いたときに見せるあの感じ。機会をつくってくれたとはいえ、なんだか男2人の生活のなかで彼女の話とか出てくるのは、なんだか恥ずかしい。
コウヘイの彼女がハミンを最初に紹介してくれたから、コウヘイは僕の恩人だ。
これまで仕事の話ばかりだった僕達に少しずつ変化が出てきた。